【令和8年7月施行】あはき療養費「月16回目以降の50%逓減」ルールを徹底解説
令和8年(2026年)7月のあはき療養費改定において、現場の収益や実務運営に最もダイレクトな影響を与えるのが「月16回以降は50%減算(半額)」となるルールの導入です。
これまでのあはき(あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう)療養費には、回数による一律の料金引き下げルールはありませんでしたが、今回の改定により頻回施術に対する強力な適正化ルールが設けられました。
本記事では、このあはき 50%減算ルールについて、対象となる項目や計算方法、専用レセプトでの請求方法、そして患者様への説明方法まで、現場で必要な知識を網羅してわかりやすく解説します。
【本記事の根拠となる通知一覧】
- 📄 保発0605第8号:「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給について」(令和8年6月5日)
- 📄 保発0605第9号:「はり師、きゅう師及びあん摩マッサージ指圧師の施術に係る療養費に関する受領委任の取扱いについて」の一部改正について(令和8年6月5日)
- 📄 保医発0605第3号:「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について」の一部改正について(令和8年6月5日)
- 📄 保医発0605第4号:はり・きゅう及びあんま・マッサージに係る明細書について(通知)(令和8年6月5日)
- 📄 事務連絡:「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給について」等の一部訂正について(令和8年6月23日)
👉 厚生労働省 公式行政資料:厚生労働省ホームページ はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の改定等について
療養費逓減(ていげん)の仕組みとして新たに導入されるこの制度は、同一患者に対して月に何度も頻回な施術を行う場合の適正化ルールです。
具体的には、同一月に16回以上の施術を行った場合、月16回目以降の施術に関する料金が「所定料金の100分の50(つまり半額)」に減額されます。
これは、国の医療保険制度における適正な評価の推進と、医療費適正化の観点から設けられたものです。
対象となるのは、「同一の施術所において、同一月内に対象となる施術(保険適用)を16回以上受ける患者」です。通所(来院)での施術はもちろん、訪問施術(往療)を利用されている患者もすべて回数カウントの対象に含まれます。
⚠️ 回数カウントに関する重要な注意点
回数のカウントは、「マッサージ」と「はり・きゅう」でそれぞれ個別に計算します。同じ月に両方の保険施術を受けている場合であっても、合算してカウントすることはしません。
【※保発0605第8号 はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給について】
📄 3ページ 「注1」(はり・きゅう)
同一の患者に対する月16回以降の施術については、施術料、訪問施術料及び電療料について所定料金の100分の50に相当する額により算定する。📄 5ページ 「注1」(あん摩マッサージ指圧)
同一の患者に対する月16回以降の施術については、マッサージ、訪問施術料、温罨法(電気光線器具を使用した場合を含む。)及び変形徒手矯正術について所定料金の100分の50に相当する額により算定する。
あはき逓減のルールにおいて最も間違えやすいのが、「すべての料金が半額になるわけではない」という点です。
どの項目が半額になり、どの項目がそのまま算定できるのかを正確に把握しておく必要があります。
16回目以降の施術において、以下の項目はベース料金および訪問評価がすべて半額(100分の50)となります。
- 【あん摩マッサージ指圧】:
施術料(マッサージ料)、訪問施術料、温罨法(電気光線器具併用を含む)、変形徒手矯正術 - 【はり・きゅう】:
施術料(通所・訪問)、訪問施術料、電療料
以下の項目は、たとえ月16回目以降の施術日であっても逓減(減算)は適用されず、通常通りの料金で全額算定が可能です。
- 往療料
- 特別地域加算
- 施術報告書交付料
- 明細書発行加算
⚠️ 特に注意すべき実務ポイント
基本となる施術料や訪問施術料だけでなく、マッサージの「温罨法」や「変形徒手矯正術」、はり・きゅうの「電療料」といった各種加算料金も50%逓減の対象となります。
レセプト計算時のケアレスミスやレセコンの初期設定エラーが非常に起きやすい部分ですので、制度の開始までにマスター設定等に誤りがないか十分に確認してください。
令和8年(2026年)7月1日以降の施術分から一斉に適用が開始されます。
計算自体は非常にシンプルです。同一月内で、1回目から15回目までの施術は、改定後の新しい基本料金(100%)で計算します。そして、その月の16回目以降の施術日については、算定する対象項目の料金をすべて「100分の50(半額)」にして計算します。
事例①:はり・きゅうの通所レセプト
(2術併用・通所 + 電療料の場合)
| 1〜15回目まで: | 施術料 1,820円 + 電療料 100円 = 1回あたり 1,920円 |
| 16回目以降: | 施術料 910円 + 電療料 50円 = 1回あたり 960円 |
事例②:訪問マッサージのレセプト
(5局所 + 訪問施術料1 + 変形徒手1肢の場合)
| 1〜15回目まで: | マッサージ料 2,350円 + 訪問施術料1(5局所) 4,650円 + 変形徒手 470円 = 1回あたり 7,470円 |
| 16回目以降: | すべての対象項目が半額(50%)となるため、1回あたり 3,735円 |
頻回施術(週4回以上など)の患者様が多い院では、売主にダイレクトに影響します。
上記の【事例②】の患者様に月20回訪問していた場合の、院の合計療養費(売上)をシミュレーションしてみます。
| 従来の算定方法 (新料金で全額算定と仮定) |
7,470円 × 20回 = 149,400円 |
| 改定後の算定方法 (16回目以降に逓減適用) |
(7,470円 × 15回)+(3,735円 × 5回)= 130,725円 |
| 📉 影響:患者様1人あたり月額 18,675円(年間で約22.4万円)の売上減 | |
このように、全く同じ施術内容・訪問回数であっても、大きな売上減となります。
週3〜4回以上のハイペースで介入している患者様が多い施術所は、大きな減収リスクを伴うため、ケアプランや施術計画の再検討が必要になります。
施行時期
令和8年(2026年)7月1日以降の施術分から一斉に適用が開始されます。
制度の核心
同一患者に対して同一月に16回目以降の施術を行った場合、対象となる施術・訪問・加算の料金が一律50%(半額)に減算されます。
回数カウントのルール
- 「通所(来院)」だけでなく「訪問施術(往療)」の回数もすべてカウント対象に含まれます。
- カウントは「マッサージ」と「はり・きゅう」でそれぞれ完全に独立して計算し、合算はしません。
レセプト作成時に最も間違いやすいポイントです。正確に区別してください。
| 50%逓減(半額)になる項目 | 逓減の対象外(通常通り100%)の項目 |
|---|---|
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⚠️ 実務および経営上の最重要ポイント
【マッサージの併施不可ルール】
マッサージ療養費において、「変形徒手矯正術」と「温罨法」を同時に併施して算定することは認められていません。売上シミュレーションや日々の算定の際は、誤って合算しないよう厳重に注意してください。
【経営・実務への影響】
- 週4回以上の高頻度で介入している患者様がいる場合、新料金のベースアップを考慮しても患者1人あたり月額約1.8万円(年間で約22.4万円)の大きな減収リスクが生じます。
【患者様へのご説明(重要)】
16回目以降の施術日は全体の料金が半額(逓減)になるため、患者様が窓口で支払う一部負担金もその日は安くなります。7月の施術開始時に「16回目以降は負担金が下がること」を患者様やご家族へあらかじめ丁寧にご説明いただき、窓口でのトラブルが起きないようご配慮をお願いいたします。
令和8年(2026年)7月のあはき療養費改定に関するより詳細な情報や、実務上の具体的な対策については、以下のテーマ別解説記事をご覧ください。ご自身の院の運用に直結する項目は、必ず詳細を確認して返戻や減算リスクを防ぎましょう。
令和8年改定への不安や、今後の院運営に関するお悩みに応じて最適な窓口をご利用ください。
保険請求・療養費制度サポート
✅ 令和8年7月療養費改定の疑義解釈
✅ 2部位目逓減や負傷原因の記載実務
✅ 窓口ごと明細書発行加算への対応
✅ タブレットを用いた電子署名運用
✅ 償還払い変更基準に伴う返戻・指導対策
接骨院経営・開業サポート
✅ 療養費改定を見据えた今後の院運営相談
✅ 減額措置や不支給対策の自費施術導入
✅ 下落トレンドに負けない集客・リピート戦略
✅ 安全なスタッフ雇用と分院展開・経営改善
✅ 厳しい時代を勝ち抜く新規開業・移転相談
