【本記事の根拠となる通知一覧】
- 📄 保発0605第8号:「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給について」(令和8年6月5日)
- 📄 保発0605第9号:「はり師、きゅう師及びあん摩マッサージ指圧師の施術に係る療養費に関する受領委任の取扱いについて」の一部改正について(令和8年6月5日)
- 📄 保医発0605第3号:「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について」の一部改正について(令和8年6月5日)
- 📄 保医発0605第4号:はり・きゅう及びあんま・マッサージに係る明細書について(通知)(令和8年6月5日)
- 📄 事務連絡:「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給について」等の一部訂正について(令和8年6月23日)
👉 厚生労働省 公式行政資料:厚生労働省ホームページ はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の改定等について
鍼灸院・マッサージ院の経営者、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、およびレセプト請求担当者の皆様、2026年(令和8年)6月5日付で、厚生労働省保険局よりあはき療養費の算定基準および受領委任の取扱いに係る最新の通知が一斉に発出されました。
今回の改定は、各施術項目のベースアップが行われる一方で、月16回以上の頻回な施術に対する逓減制の導入や、訪問施術料の細分化および特定施設への集中減算ルールの追加、明細書交付ルールの変更に伴う加算の創設など、実務および院内管理における非常に重要な変更が多数含まれています。
また、健康保険事業の健全な運営を確保するため、患者紹介に関する経済的利益の提供禁止や、オンライン診療等による無診察同意の禁止など、適正化に向けた運用ルールの厳格化も図られています。
これらの見直しは、原則として2026年(令和8年)7月1日以降の施術分から適用が開始されるため、正確な制度理解と迅速な現場対応が求められます。
本記事では、厚生労働省が発表した公式通知に基づき、制度変更の全貌、新旧の料金比較、新たな算定ルール、そして施術所が今すぐ着手すべき対応実務までを完全ロードマップとして、分かりやすく丁寧に解説します。
物価高騰や賃上げに対応するため、過去10年で最大級となる「+0.60%」のプラス改定が行われ、各施術料金が引き上げられます。
マッサージ:1局所につき20円引き上げられ、470円になります。
はり・きゅう:初検料(1術)が2,000円(+50円)、施術料(1術)が1,650円(+40円)などに引き上げられます。
▶ 【令和8年7月施行】あはき療養費の新旧比較表|変更点と算定ルールを解説
同一患者に対して頻回な施術を行っている場合の適正化ルールが導入されます。
月に16回目以降の施術については、施術料(マッサージ料)、訪問施術料、電療料や温罨法などの加算も含めて、所定料金の50%(半額)に減額されます。
▶ 【重要】月16回以降は50%減算へ|あはき療養費「50%逓減」をわかりやすく解説
同一建物への訪問施術(囲い込み)に対するルールが極めて厳格化されます。
区分の追加:従来の1〜3人の区分に加え、「訪問施術料4(10人~19人)」「訪問施術料5(20人以上)」が新設され、大人数になるほど単価が下がります。
集中率による減算:新設された区分4または5を算定する施術所において、特定の同一施設への訪問割合(集中率)が90%以上を占める場合、その施設での施術料金すべてが80%に減額されます。
▶ 施設訪問は大幅減収へ|あはき療養費「訪問施術料の新区分」と「集中率80%減算」を徹底解説
これまで患者から求められた場合のみの発行であった明細書が、原則として毎回無償で交付することが義務化されました。
発行するごとに新たに「明細書発行加算(10円)」が算定できるようになります。
患者からの同意を事前に文書(署名)で得ている場合や、訪問施術の場合は、1か月分をまとめて交付することも認められます。
医師からの同意書(無診察同意)を防止するためのルールが強化されました。
医師による対面診察が必須となり、「オンライン診療」による同意書の交付は不可であることが明文化されました。
同意書を訂正する際は、修正テープ等の使用は認められず、作成した医師本人が二重線を引き、署名または訂正印を押す必要があります。
不適切な運用を排除するため、療養費の支給対象外となるケースが明確化されました。
紹介料(キックバック)の禁止:施設やケアマネージャー等に金品を提供して患者を紹介してもらう行為や、特別の関係(運営会社が同じなど)にある施設への施術は支給対象外となります。
自己施術・自家施術の禁止:施術者自身への施術や、家族、関連する施術所の従業員に対する施術も支給対象外です。
今回の改定は、料金の変更だけでなく算定ルールの根幹に関わる大きな見直しが含まれています。現場の混乱を避けるためにも、施行スケジュールと経過措置(猶予ルール)を正確に把握しておくことが不可欠です。
適用開始日:令和8年(2026年)7月1日以降の施術分から
今回の改定に係るすべての新ルール(基本料金の引き上げ、月16回以降の50%逓減制、訪問施術料の細分化、明細書発行の義務化など)は、原則として令和8年(2026年)7月1日以降の施術分から適用されます。
今回のマッサージ療養費に関する大きな変更点を取りまとめました。ベースアップによる増収要素がある一方で、頻回施術や施設への一極集中に対する減算ルールが強力に作用する構造となっています。
| 項目 | 改定前(旧ルール) | 改定後(新ルール) | 実務上の重要ポイント・影響 |
|---|---|---|---|
| 通所施術料 | 450円 ~ 2,250円 | 470円 ~ 2,350円 | 各局所一律20円のベースアップ。5局所の場合は1回あたり100円のプラスとなります。 |
| 訪問施術料の区分 | 3区分 (1人 / 2人 / 3人以上) |
5区分へ拡大(細分化) | 同一日・同一建物での施術人数に応じた区分がより細かくなりました。 |
| 訪問施術料4・5 | なし | 【新設】・区分4(10〜19人) ・区分5(20人以上) |
大人数をまとめて施術する施設訪問などの場合、患者1人あたりの訪問施術料単価が引き下げられます。 |
| 月16回目以降の施術 | 規定なし (通常通り算定) |
【新設】 50%逓減(半額) |
同一患者に対する月の16回目以降の施術は、施術料・訪問施術料ともに所定料金の半額となります。 |
| 各種加算の16回目以降 (温罨法・変形徒手) |
規定なし (通常通り算定) |
【新設】 50%算定(半額) |
施術料金だけでなく、温罨法や変形徒手矯正術などの加算についても、16回目以降は半額での算定となります。 |
| 訪問施術の集中減算 | なし | 【新設】20%減算 (100分の80で算定) |
新設の訪問区分4・5を算定する施術所で、特定の同一施設への訪問割合が90%以上を占める場合、その施設での施術料金(一連の全ての料金)が20%減算となります。 |
| 明細書発行加算 | なし | 【新設】 1回につき 10円 |
施術内容がわかる明細書を無償交付(毎回または1か月分まとめ)した場合に算定可能。実務上は発行が原則義務化されます。 |
| 特別地域加算 | 250円 | 250円 (据え置き) |
金額に変更はありません。離島や中山間地等の特別地域に居住する患者への施術が対象です。 |
| 往療料 | 2,300円 | 2,300円 (据え置き) |
金額に変更はありません。突発的な往療が対象であり、訪問施術料との同時算定(併給)は不可です。 |
| 施術報告書交付料 | 480円 | 480円 (据え置き) |
金額に変更はありません。医師への報告書交付時に算定します。 |
今回のはり・きゅう療養費に関する大きな変更点を取りまとめました。マッサージ同様、基本施術料が引き上げられる一方で、頻回施術(16回目以降)や施設集中に対する厳しい適正化ルールが導入されています。
| 項目 | 改定前(旧ルール) | 改定後(新ルール) | 実務上の重要ポイント・影響 |
|---|---|---|---|
| 初検料 | 1術:1,950円 2術:2,230円 |
1術:2,000円(+50円) 2術:2,320円(+90円) |
1術で50円、2術(はり・きゅう併用)で90円の大幅なベースアップとなります。 |
| 通所施術料 | 1術:1,610円 2術:1,770円 |
1術:1,650円(+40円) 2術:1,820円(+50円) |
1回につき1術で40円、2術で50円のベースアップとなります。 |
| 訪問施術料の区分 | 3区分 (1人 / 2人 / 3人以上) |
5区分へ拡大(細分化) | 同一日・同一建物での施術人数に応じた区分が、マッサージ同様により細かくなりました。 |
| 訪問施術料1〜3 | 1術:2,070円〜3,910円 2術:2,230円〜4,070円 |
【改定】1術:2,110円〜3,950円 2術:2,280円〜4,120円 |
既存の区分1(1人)、区分2(2人)、区分3(3〜9人)についても、それぞれ40円〜50円のベースアップが行われています。 |
| 訪問施術料4・5 | なし | 【新設】・区分4(10〜19人) ・区分5(20人以上) |
大人数をまとめて施術する施設訪問などの場合、患者1人あたりの単価が引き下げられます(例:区分5の1術は1,720円)。 |
| 月16回目以降の施術 | 規定なし (通常通り算定) |
【新設】 50%逓減(半額) |
同一患者に対する月の16回目以降の施術は、施術料・訪問施術料ともに所定料金の半額となります。 |
| 電療料の16回目以降 | 規定なし (通常通り算定) |
【新設】 50%算定(半額) |
電気針、電気温灸器などの電療料(100円)についても、16回目以降は半額(50円)での算定となります。 |
| 訪問施術の集中減算 | なし | 【新設】20%減算 (100分の80で算定) |
新設の訪問区分4・5を算定する施術所で、特定の同一施設への訪問割合が90%以上を占める場合、その施設での施術料金(一連の全ての料金)が20%減算となります。 |
| 明細書発行加算 | なし | 【新設】 1回につき 10円 |
施術内容がわかる明細書を無償交付(毎回または1か月分まとめ)した場合に算定可能。実務上は発行が原則義務化されます。 |
| 特別地域加算 | 250円 | 250円 (据え置き) |
金額に変更はありません。離島や中山間地等の特別地域に居住する患者への施術が対象です。 |
| 往療料 | 2,300円 | 2,300円 (据え置き) |
金額に変更はありません。突発的な往療が対象であり、訪問施術料との同時算定(併給)は不可です。 |
| 施術報告書交付料 | 480円 | 480円 (据え置き) |
金額に変更はありません。医師への報告書交付時に算定します。 |
今回の令和8年度改定について、施術所の皆様やレセプト担当者様から特に多く寄せられる疑問点をFAQ形式でまとめました。制度の誤解が生じやすいポイントですので、しっかりとご確認いただき、日々の適正な院内運用にお役立てください。
Q1:月16回以上の逓減(50%算定)について、どの項目が対象になりますか?
具体的には、マッサージ、はり・きゅうの各施術料、訪問施術料、温罨法(電気光線器具を使用した場合を含む)、電療料、変形徒手矯正術について、所定料金の100分の50に相当する額で算定します。なお、往療料や特別地域加算、明細書発行加算などは逓減の対象外(通常通りの算定)です。
Q2:明細書を「1ヶ月まとめ」で発行する場合、患者様からの口頭での同意でも良いですか?
患者の求めに応じて明細書を1か月単位で交付する場合は、施術所はあらかじめ患者の意向を文書で確認しなければなりません。ただし、紙の文書に限らず、明細書発行に関する同意画面を表示し、患者に画面上で署名を求めた上で電磁的記録として保存する方法も認められています。
Q3:医師の同意書について、患者様が「オンライン診療」で書いてもらうことは可能ですか?
今回の改定で、医師の同意または再同意は「医師の対面診察を受けたものでなければならない」という大原則が強調され、オンライン診療による同意書の交付はできないことが明確に規定されました。無診察同意を防止するための重要なルールですので、患者様へも正しくご案内をお願いいたします。
Q4:訪問施術の「集中減算(80%算定)」は、どのような条件で適用されますか?
訪問施術料4および5を算定する施術所において、同一月内の訪問施術のうち、特定の施設等で行われる施術の割合(集中率)が90%以上である場合に適用されます。この条件に該当すると、その施設における訪問施術の料金(一連の施術において算定される全ての料金)が100分の80に減算されます。なお、出張専門の施術者が訪問施術料を算定せずに施術料を算定している場合も、集中率の計算に含める点にご注意ください。
Q5:同意書に医師の書き間違いがあった場合、修正テープ等で直しても良いですか?
同意書を訂正する際は、必ず同意書を発行した保険医ご本人が二重線を引き、署名(または訂正印)により訂正を行う必要があります。施術所側での追記や修正は不適切とみなされますので、不備がある場合は必ず医療機関へ修正をご依頼ください。
Q6:7月1日のスタートに、新しい申請書や明細書の用紙準備が間に合いません。どうすればよいですか?
システム改修が完了するまでの間は、お手元の旧様式に手書き等で必要な修正を加えて使用する経過措置が用意されています。ただし、あくまで一時的な特例ですので、レセコンメーカー等の対応状況を確認し、準備ができ次第、速やかに新様式へ移行してください。
令和8年(2026年)7月のあはき療養費改定に関するより詳細な情報や、実務上の具体的な対策については、以下のテーマ別解説記事をご覧ください。ご自身の院の運用に直結する項目は、必ず詳細を確認して返戻や減算リスクを防ぎましょう。
令和8年改定への不安や、今後の院運営に関するお悩みに応じて最適な窓口をご利用ください。
保険請求・療養費制度サポート
✅ 令和8年7月療養費改定の疑義解釈
✅ 2部位目逓減や負傷原因の記載実務
✅ 窓口ごと明細書発行加算への対応
✅ タブレットを用いた電子署名運用
✅ 償還払い変更基準に伴う返戻・指導対策
接骨院経営・開業サポート
✅ 療養費改定を見据えた今後の院運営相談
✅ 減額措置や不支給対策の自費施術導入
✅ 下落トレンドに負けない集客・リピート戦略
✅ 安全なスタッフ雇用と分院展開・経営改善
✅ 厳しい時代を勝ち抜く新規開業・移転相談
