接骨院を開業するためにはいろいろな準備がありますが、開業に伴う各種届出を確認することも大切な準備のひとつです。
柔道整復の施術所を開設するに関し、 保健所への開設届の提出以外にもさまざまな届出や手続が必要です 。開業に向けた店舗づくりや機器の導入などの準備がどれだけ進んでいたとしても、各種の届出が不備であるためにスムーズなスタートを切ることができなかったケースも実際に発生しています。
そのような状況にならないように、必要な届出や準備についてしっかりと理解しておきましょう。
この記事では、 どの手続をいつから始めるとよいのか、それぞれの届出先はどこなのか、 などを具体的に解説していきますので、参考にしていただければと思います。
目次
①開業に向けた手続き・届出には何があるのかを知っておこう
②施術所を開設するための届出
1.届出に必要な書類
2.施術所開設届を提出する際の注意点
③受領委任を取り扱うための届出
1. 地方厚生局への届出=契約記号番号の取得
2.共済組合連盟への届出=共済連盟承諾番号の取得
3.防衛省への届出=防衛省番号の取得
4.労働基準局への届出=労災の指定機関番号の取得
④個人事業主としての届出
⑤さいごに
①開業に向けた手続き・届出には何があるのかを知っておこう
開業に向けての手続きや届出をグループごとに分けると、以下のようになります。
①施術所を開設するための届出
②受領委任を取り扱うための届出
③個人事業主としての届出
大きく上記の3つに分類することができます。また、 それぞれ提出先や提出書類、提出期限が異なります 。
事前に相談が必要なものもありますので、注意しましょう。
②施術所を開設するための届出について
接骨院を開業するには、管轄の保健所へ開設届の提出が必要です。
接骨院は、許認可制ではなく届け出制のため、開業後でないと開設届の提出ができません。
柔道整復の施術所として開業をする場合、必ず保健所へ開設届を提出しなければならないと柔道整復師法第19条に記載されています。
=====ここから引用======
柔道整復師法(施術所の届出)
第十九条 施術所を開設した者は、開設後十日以内に、開設の場所、業務に従事する柔道整復師の氏名その他厚生労働省令で定める事項を施術所の所在地の都道府県知事に届け出なければならない。その届出事項に変更を生じたときも、同様とする。
=====ここまで引用======
②-1 届出に必要な書類
管轄の保健所によって提出を求められる書類が一部異なりますので、事前に確認が必要です。
主に必要となる書類は以下の6つです。
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① 施術所開設届
② 柔道整復師免許の原本と写し
③ 施術所の平面図
④ 最寄駅からの案内地図
⑤ 法人の場合は定款(写し)と登記簿謄本
⑥ 施術所が賃貸の場合は賃貸契約書の写し
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※愛知県名古屋市へ提出する施術所(柔道整復)開設届のサンプル
②-2 施術所開設届を提出する際の注意点
施術所解説届を提出する際の注意点は大きく3つあります。
①保健所へ開設届を提出する際は、提出書類を2部用意しておきましょう
施術所開設届を保健所へ提出したあと、受領委任の届出やその他の届出のために、開設届の写しの提出が必要となります。
保健所への提出用と控え用に2部作成し、受領印を押印してもらった控えを必ず受け取っておきましょう。
②開設届の提出には、スケジュールに余裕をもちましょう
保健所への開設届の提出は、「開設後10日以内に申請」とされています。しかし、受領委任の取り扱いを厚生局へ申請するためには、開設届の写しの提出が必要となります。開設届を提出しただけでは、受領委任の取り扱いを行うことができないため、注意が必要です。
いつから受領委任の取り扱いを始めるのかを考慮して提出するスケジュールを調整しましょう。
③各保健所に、事前相談が必要なケースもあります
保健所へ開設届を提出した際に、書類の不備や構造設備基準の不備によって受取をしてもらえず、届出ができないケースがあります。また保健所によっては、事前に建築・内装の図面の確認を行っていないと開設届の受取をしてもらえない場合もあります。各保健所に確認を行い、必要に応じて事前相談を実施しておきましょう。
③受領委任を取り扱うための届出
開設届を保健所へ提出しただけでは、健康保険の取り扱いはできません 。受領委任契約を結んで初めて、取り扱いが可能となります。 受領委任契約については余裕をもったスケジュールが必要です。認可番号が受理されない場合には療養費支給申請ができないので、ご注意ください。
接骨院で施術を行い、社保(協会けんぽ、健保組合等)、国保、後期高齢、船員保険、退職者国保といった保険者に保険請求を行うには、契約記号番号が必要となります。当然のことながら、契約記号番号がなければ保険請求を行うことはできません。また、地域によっては必須書類にも違いがあることにも注意してください。このときは必ず、管轄の厚生局へ問い合わせをすることが重要です。
また、契約記号番号を取得しただけの場合には共済連盟、防衛省などの保険者の取り扱いを行うことができないため、別途届出が必要になります。労災保険を取り扱うためにも別途届出が必要になりますが、こちらは管轄する労働基準局への申請が必要です。
③-1 地方厚生局への届出=契約記号番号の取得
接骨院で施術を行い、社保(協会けんぽ、健保組合等)、国保、後期高齢、船員保険、退職者国保といった保険者に保険請求を行うには、契約記号番号が必要となります。契約記号番号がなければ保険請求を行うことはできません。こちらも地域によっては必須書類に違いがある点に注意してください。そのためには必ず管轄の厚生局へ問い合わせをすることが大切です。
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・確約書(様式第1号)
・柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いに係る申し出(様式第2号)
・施術管理者選任証明(開設者と施術管理者が違う場合)
・柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いに係る申し出(同意書)(様式2号の2)
・誓約書(様式2号の3)
・欠格事由非該当届出書
・実務経験期間証明書
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以下の各地方厚生局のホームページより書式のダウンロードが可能です。
東海北陸厚生局 > 柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任に関する申出等
③-2 共済組合連盟への届出=共済連盟承諾番号の取得
③-1の地方厚生局へ届出をした契約記号番号には国家公務員関係の保険者である「共済組合連盟」は含まれていません。「共済連盟承諾番号」を取得することで受領委任の取り扱いが可能になります。共済組合連盟に連絡を取り、所定の書式をもらい、記入して提出を行います。このときに柔道整復師免許証の正本をコピーしたものが必要になります。共済組合連盟の連絡先は以下となります。
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一般社団法人 共済組合連盟
〒102-0071 東京都千代田区富士見1-7-5 共済ビル
TEL 03-3261-0073
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また、地方公務員関係の保険者に対しては 「地方公務員共済組合協議会」に申し出て 「地方共済協議承諾番号」を取得する必要があります。
都道府県によっては、当該都道府県知事・都道府県を管轄する地方厚生局(地方厚生支局)に当該委任契約の権限を委任しております。 同知事・同局が発行する登録記号番号の付番を受ければ、地方公務員共済組合協議会との個別契約は不要です 。
下記に当協議会との個別契約が必要な都道府県一覧を掲載しますので、申出の際の参考にしてください。
[新規の申請登録]
これまでに承諾記号番号を取得したことのない方が、新規で受領委任の取扱を申請する場合
[提出書類]
(1) 様式第1号「柔道整復療養費の受領委任の取扱いに係る申出書」 ※ダウンロード可能
(3) 柔道整復師免許証明書の写し
(4) 郵便番号、住所、氏名を記載した返信用封筒(84円切手を必ず添付)
[各届書の送付先]
〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-1-1 飯野ビルディング11階
一般社団法人 地方公務員共済組合協議会 あて
③-3 防衛省への届出=防衛省番号の取得
自衛官関係の保険者に請求をするには、 防衛省に申請を行い防衛省番号を取得します 。
申出書・確約書・柔道整復師免許証の写しといった指定の書式をそろえ、提出することになります。
防衛省では、契約に関する事務手続きを1ヶ月分取りまとめて月末に実施している都合上、毎月20日が締切(必着)となります。(20日が休日の場合は、その前の平日)提出にあたっては、余裕をもってご提出ください。
契約に関する事務手続き終了後、防衛省から防衛省番号と承諾年月日を明記した「承諾書」を送付いたします。
(「承諾書」は、全国の陸・海・空自衛隊の駐屯地などで有効です。)
登録内容の変更の場合は、承諾書は再発行されません。
③-4 労働基準局への届出=労災の指定機関番号の取得
開設する施術所が労災の指定機関として指定を受けるためには、所轄する労働基準局に申請する必要があります。書類の提出後、労働局長による審査を経て約1か月半でその結果が通知されます。
この通知で指名を受けると、労災保険の取り扱いが可能となります。取り扱い開始の指定日は申請書類が労働局へ到着した日の翌日です。指名期間は原則指定日から2年間となっていますが、自動更新となっているため「更新をしない申請」を行わない限り指名は続きます。
申請書類は、整骨院における柔道整復師が1人であり、かつその1人が院の開設者である場合と、開設者が法人であったり、整骨院に柔道整復師が複数人所属していたりする場合とでは書類の種類が異なります。
柔道整復師の労災指定における必要書類
労災保険指名柔道整復師となるために必要な申請書類は、柔道整復師が1人の整骨院であるか、法人経営であるか、あるいは複数人の柔道整復師が所属している整骨院であるかで異なるため注意が必要です。
[共通して提出が必要な書類]
・確約書
・施術所開設届(写し)
・柔道整復師免許証(写し)
・施術所の平面図
・施術所附近の見取り図
・指定薬局・指名期間登録報告書
上記に加え、それぞれの場合に応じて下記の書類が必要です。
[柔道整復師が1人の整骨院の場合]
・柔道整復師の施術に係る療養給付たる療養の費用の受任者払の取り扱いに関する申出書
[法人経営、または複数人の柔道整復師が所属している整骨院の場合]
・開設者以外の柔道整復師が担当した施術に係る受任者払いの指名施術所申請書
・柔道整復施術費用の受任者払いに係る同意書(複数人の柔道整復師が所属している場合)
・受任者選任届(法人の場合、および開設者と受任者が異なる場合)
整骨院を所轄する労働局のホームページでは申請書類が一部ダウンロード可能となっています。
申請の際は必要書類を確認してから、申請するようにしましょう。
④個人事業主としての届出
必要な届出のひとつに、個人事業主として事業を開業したことを税務署に申告する「開業届」の提出が必要になります。
この開業届とは、正式には 「個人事業の開業・廃業等届出書」 で、節税効果の高い青色申告を利用して確定申告を行うため税務署へ届け出るものです。
個人でも申告を行うことは可能ですが、会計士さんや税理士さんのサポートを受けて行うことも有効です。
税務署に申告する「開業届 ※個人事業の開業・廃業等届出書」については、以下のページに詳しく説明されていますのでご確認ください。
=====参考ページ======
国税庁ホームぺージ
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2090.htm
開業届とは? 個人事業主のための開業届の基礎知識
https://www.freee.co.jp/kb/kb-kaigyou/basic-knowledge/
開業したら税務署へ!開業届と青色申告承認申請書を簡単作成して提出する
https://www.freee.co.jp/kb/kb-blue-return/submission/
=====ここまで引用======
⑤さいごに
接骨院の開業に必要な「届出」についてまとめました。
接骨院を開業するための届出には大きく分けて3つあります。
①施術所を開設するための届出
②受領委任を取り扱うための届出
③個人事業主としての届出
それぞれの届出に不備があると、施術所として開設が認められなかったり、療養費の取扱を行うことができなかったりと影響を受けてしまいます。
先生にとっては手間のかかる事前準備ですが、開業前にはほかにもやるべきことがたくさんあります。
これまで多くの開業を支援してきたJBA協会が各届出についてサポートいたします。まずは手順のおさらいや開業に向けた届出の確認を行っていきましょう。ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
届出のほかにも、開業に向けた準備は多くあります。スムーズに行い、成功させるために開業セミナーにご参加いただければとさらに詳しくお伝えできるかと思います。
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